授業内容・計画(詳細)の情報


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1.基本事項
2011 年度 春 学期  
開講クラス 文学部・文明学科
文学部・アジア文明学科
文学部・ヨーロッパ文明学科
文学部・アメリカ文明学科
文学部・北欧学科
文学部・歴史学科-日本史専攻
文学部・歴史学科-東洋史専攻
文学部・歴史学科-西洋史専攻
文学部・歴史学科-考古学専攻
文学部・日本文学科
文学部・文芸創作学科
文学部・英語文化コミュニケーション学科
文学部・広報メディア学科
文学部・心理・社会学科
観光学部・観光学科
政治経済学部・政治学科
政治経済学部・経済学科
政治経済学部・経営学科
法学部・法律学科
教養学部・人間環境学科-自然環境課程
教養学部・人間環境学科-社会環境課程
教養学部・芸術学科-音楽学課程
教養学部・芸術学科-美術学課程
教養学部・芸術学科-デザイン学課程
教養学部・国際学科
体育学部・体育学科
体育学部・競技スポーツ学科
体育学部・武道学科
体育学部・生涯スポーツ学科
体育学部・スポーツ・レジャーマネジメント学科
理学部・数学科
理学部・情報数理学科
理学部・物理学科
理学部・化学科
情報理工学部・情報科学科
情報理工学部・コンピュータ応用工学科
工学部・生命化学科
工学部・応用化学科
工学部・光・画像工学科
工学部・原子力工学科
工学部・電気電子工学科
工学部・材料科学科
工学部・建築学科
工学部・土木工学科
工学部・精密工学科
工学部・機械工学科
工学部・動力機械工学科
工学部・航空宇宙学科-航空宇宙学専攻
工学部・航空宇宙学科-航空操縦学専攻
工学部・医用生体工学科
体育学部・体育学科
体育学部・競技スポーツ学科
体育学部・武道学科
体育学部・生涯スポーツ学科
体育学部・スポーツ・レジャーマネジメント学科
健康科学部・看護学科
健康科学部・社会福祉学科
授業科目名 言語と文化
曜日 時限 金-2
テーマ サブカルチャーから見る言語文化と映像文化
キーワード サブカルチャー おたく 多層性


2.授業で育成する力・スキル
自ら考える力(社会や時代の問題に気づき、その意味を理解し、その解決を考える力)
複眼的思考力

3.授業要旨または授業概要
 現代日本のポップカルチャー、もしくはサブカルチャーを特徴づける一つの側面として、アニメやゲームを中心
とする「おたく系」または「秋葉系」などと呼ばれるムーブメントがある。日本発のアニメーションやゲームは世
界的に消費され、日本の現代文化を象徴するものとすらみなされている。しかし、その一方でそもそも「おたく」
というタームによって指示される対象が何なのか、そう総称される社会集団が享受する文化形態がどのようなもの
であるかは、当事者以外にはあまり知られていないのも事実である。
 ここに我々は、たとえば「若者」と総称されるような社会集団の文化的営為においてすら、複雑な重層的構造を
見てとることができる。かかる文化現象の担い手である「おたく」は、単に二次元が好きな人間であるというだけ
ではなく、その集団の外部の人間とは、社会的振る舞いや用いる言葉、思考様式において異なっていることをむし
ろアイデンティティとしている面がある。さらに所謂スクール・カーストやいじめ、引き籠りといった社会問題と
リンクして語られることもある。個人の趣味・嗜好が、単に個人のものであるに留まらず、文化的・社会的多層性
を創出する要因になっているのである。
 本講義では、単に現代におけるそうした文化状況を興味本位に概観するのではなく、それがどのような文化的系
譜に連なるものであるかを理論的に考察し、サブカルチャー的なものの歴史において位置づけることを第一の目標
とする。そのために、近代日本の若者文化を歴史的に追いながら、文化集団としての「おたく」の成立とその特徴
を考察する。その上で、それが今日においていかなる文化構造を構築しているのかを、近年の研究成果を援用しつ
つ多角的に捉えることを目指す。


4.学習の到達目標
1)	日本の近代化の過程における若者文化の変容について知る。
2)	「おたく」という文化集団と社会のかかわりを考え、なぜ、あるいはどのようにそのような状況が発生したかがわ
かる。
3)	同じ時代、同じ空間においても多様な文化現象が併存していることを知り、相互理解の可能性を探る。

5.授業スケジュール
第一回 ガイダンス:本シラバスに沿って、講義の内容、受講する際の注意、単位取得などの必要事項を説明す
る。
第二回 「若者」の発見:「若者」という社会集団は自然発生的なものではなく、日本が近代化するに当たって
制度的に作り出されたものであることを理解し、「若者文化」と社会制度のかかわりを前提として共有する。
第三回 大衆化と「教養主義」の変質および継承:旧制高校、帝国大學といった、近代日本のエリート層を養成
する高等教育機関において「教養」がどのように若者文化を支配していたかを考察する。
第四回 少年漫画・劇画の歴史と発展:戦後の日本において手塚治虫によって現代漫画の基礎が築かれたが、同時
にさまざまな社会階層において異なる様相で展開した漫画文化の拡大について考察する。
第五回 SFと第一次アニメブーム:1950年代の欧米からのSF小説の導入に始まり、60年代のテレビアニメー
ションや特撮番組の隆盛について考察する。
第六回 少女漫画から「かわいいもの」へ:「少女」むけメディアの独立と、そこに醸成された独自の文化につ
いて考え、今日まで続くキャラクター文化を、フェミニズムやポストモダニズムとの関連において考察する。
第七回 アニメブームとクリエータ文化:1980年代初頭のアニメブームにおいて、クリエータ個人の作家性が重
視されるようになった過程と、今日的アニメーションの作られ方について考察する。
第八回 「おたく」の誕生:「おたく」という言葉そのものは1980年代に生まれたものであるが、そのように呼
ばれる文化集団の形成は1960年代にまで遡ってみることができるのではないかという仮説を元に、教養という
キーワードと絡めて考察する。
第九回 おたくとネット:おたく文化とネットの親和性についてはしばしば語られるが、ここではその歴史と親
和性をもたらす要因(ネットの初期ユーザとおたくの関係、発表の場としてのネットなど)について考察する。
第十回 ゲーム的物語論:おたく的メディアの象徴的なものとしてのノベルゲームを取り上げ、そのようなゲー
ムがどのように作られ、受容されているかを概観した上で、そこに共通して見られる物語構造について考察す
る。
第十一回 「萌え」の歴史と現状(1):今や頻繁に人口に膾炙するに至った「萌え」というタームの意味すると
ころ、その歴史、「萌え」と「燃え」の対比などについて考察する。
第十二回 「萌え」の歴史と現状(2):前回に引き続き、「萌え」をキーワードに状況の理論的考察を行う。
第十三回 近年のムーブメントと展望:現在おたく的文化現象がどのようになっているか、今後どのようになり
うるかについて考察する。
第十四回 まとめ:ここまでの講義を振り返り、論点を整理して、講義の目標である多層性・多様性の理解を確
認する。またレポートの書き方や課題等について説明する。

6.成績評価の基準および方法
成績は学期末に提出されるレポートによって評価する。出席については勘案しない。
レポートについては講義内で詳細に説明するが、ネット情報のコピー・ペースト等はいっさい採点の対象外
となる。重要なのは、自分で調べ、自分の言葉で記述することである。
到達基準
1)	日本の近代化の過程における若者文化の変容について知る:20点(要点を押さえられて10点、論理的
記述が出来て10点)
2)	「おたく」という文化集団と社会のかかわりを考え、なぜ、あるいはどのようにそのような状況が発生
したかがわかる:20点(要点を押さえられて10点、論理的記述が出来て10点)
3)	同じ時代、同じ空間においても多様な文化現象が併存していることを知り、相互理解の可能性を探る:
60点(要点を押さえられて30点、論理的記述が出来て30点)
以上の基準に基づいてレポートを採点し、90点以上がS、80点--89点をA、70点--79点をB、60点--69
点をC、60点未満をEとして評価する。


7.教科書・参考書
区分 書 名 著者名 発行元 定価
参考書 「おたく」の精神史 大塚英志 講談社  
参考書 萌える男 本田透 筑摩書房  


8.その他の教材